埼玉から世界へ響かせろ!!!【SR3 サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者鑑賞記】

 まず、作品の噂は知ってて、その後に高校の同級生である配島君がやけに宣伝してるなと思ったら出演者でそれじゃあ見てみようと言う全く持って不純な動機で始めたSRを巡る旅も渋谷の「シネクィント」での上映が最終日でそんな配島君も舞台あいさつに来ると聞いたので狙って行ってみた。過去2作にはまって行った背景は下のリンクで見て頂こう。そして、これは映画の紹介文である。どこの上映でも同じ内容になるので、今回の感想も含めて見て欲しい人向けの文なのでネタばれは避けている。人によってはネタばれと思ってしまう人もいるでしょうけど、ここは分かってたとしても、十分楽しめるので安心して読んで頂きたい。それでも、書いてしまう事はあると思います。そうじゃないと伝わらない事もあるので、それでは過去のものへ行く人は読んで下さい。また、今回映画終わってから監督の入江悠氏が責任編集した本を買った。それはライムスター宇多丸を代表した執筆陣が色んな文章を載せているんだけれども、読んでしまうと影響を受けそうなんで、そこは敢えて読まずに書くことにした。まずは見てない人は1,2の感想からどうぞ。

1の感想

2の感想

 さて、SR3の感想であるけれども、比べると3が一番揺さぶられた。今作だけ映画館で見ているっていうのはその理由にならざるをえない。やっぱり映画は映画館で見る為に作られているっていう根本的な原則に気付かされた作品だった。今回は音楽映画と言う事で流すボリュームによって主人公の心情の変化を表したりするっていう表現技法は初めて見た気がする。例えば、聞えて来るボリュームは物理的には同じである筈だけれども、心情の高まりとかそう言った事を聞えてくる音の大きさで表現していたりとか、ぶん殴られて気絶するっていう事を真っ暗な暗転の中フェードアウトして消えていく音楽とか、演じている人が目の前で見える演劇やこっちでボリュームをコントロール出来るTVに比べて「映画って本当に素晴らしいものですね。」なんて水野晴郎的な事を書いてしまうのだ。

 作品は1の埼玉、2が群馬、今回は東京と栃木と言う形で舞台を転々としていた。過去に何度となくこのシリーズに関して自分が触れていたのは「リアル」という言葉だったわけだが、今回もそれを感じさせられる。1つは今回の主人公、マイティーが群馬寄りの埼玉から上京して東京と勝負と言う感じでやってきている街がどうやら北区赤羽のライブハウスで、彼が所属していたグループが中野区鷺宮のグループだったと言う事、舞台が銀座六本木とかじゃなくて赤羽って所が妙にリアリティあるなって思った。マイティの逃亡シーンが新幹線の高架下を逃げるんだけど、こんな光景があるのは赤羽から上野までの間だからそうなるだろう。そして、ストーリー内で「赤羽でやってるんだろう」って言う台詞で妙な納得感がある。まずは赤羽、そして池袋、埼玉県民はそういう発想が付きものだったりもする。そんな街のリアルもさることながら、街でうろちょろしてそうなチンピラの逃亡劇における逃亡の仕方とか、そこに巻き起こる諸々の事にリアルな感じがした。別にそういう組織に身を置いていたわけではないけれども(笑)、こういう世界なんだろうなって言うのを重々感じた。この3部作に関して、よく評論家が北野武作品との比較をするんだけれどもその気持ちがようやく分かるような気がしてきた。

 同じものを映しているわけではないけれども、北野武が上の方のトップクラスのヤクザを描いているとして、入江悠(SRシリーズの監督)はその川下の下、それこそ海に流れ入る位の川下を描いているような印象が強かった。そして、それが本当にありそうな景色で当事者では一切ないんだけれども、ドンドン感情移入させられる様な作り方も含めて凄いと思った。この作品は栃木で大きなフェスを行うヤクザがいるっていう事が大きな柱になっているんだけれども、それに絡んで逃亡を続けて行くマイティーと言う主人公を見てドンドン吸い込まれてハラハラさせられた印象がかなり強い。冗談抜きでこの映画見終わって2日位経ってるけど連続してヤクザに絡まれる夢を夜中に見ると言う(笑)、それ位引きこまれてしまった。北野作品同様「非常に引力の強い映画」だと思う。

 この説明だと、チンピラから逃げる確定有罪の逃亡者って言う感じの、言ったらハリソン・フォードの映画みたいな感じに映るんだけれども、そう言うスリル満載シーンと対比するように1からのメインキャラクターであるSHO-GUNGと日光のラッパー征夷大将軍との絡みがほのぼのとしている感じの対比が凄い良くて、緊張と緩和のバランスが程良くて、バカバカしくて笑った後に逃亡シーンが取り込まれると言うこのバランスも今作の魅力といえましょう。特に体育館でのオーディションのシーンって言うのは映画館とは言え、もっとノリたかったなって言う気持ちもある。参加者をバカにしてる審査員をバカにするっていうシーンなんだけれども、そう言う所もしっかりディスって行くっていうフリースタイルをしっかりとやっているっていうのは好きなシーン。見ていて、軽く、頭を前後に揺らせるような感じになっていたのは確かだけど、もっとノリたかったですけど、そこは映画館という事で自粛ってやつでしょうか。

 ヒップホップから足を洗って、主催者側に移って仕切るマイティーに対して、仲間から捨てられても2人でマイクを握り続けるSHO-GUNGの二人。苦しそうなマイティーと楽しそうなSHO-GUNG、それでもマイティーは「こう言うのは仕切る方が面白いと学んだ」と語るマイティーのアンバランスも振り返ると凄いなと思ってしまう。考えさせられるよね、苦しみながら上まで上り詰めるのが良いのか、上がれないけど楽しみ続けるのが良いのか、そんな事を考えさせられるけど、そりゃあ苦しくても上がった方が良いんだろうなとか思ってみたり、色々とリスタートが近いので考えさせられたりするのです。

 それにしても、よくよく考えたら「サイタマノラッパー」って言う割にラップの時間が全体のバランスに関して少ないのが今回なんだけれども、逆に少ないが故にクリティカルヒットさせて行くと言う展開。ラストのフェスシーンから最後までのラップシーンの印象が強くて終わった時はそれだけ残ってるような感じ。終わった直後はもうそれしか残さないような魔力がある。一息ついて色々湧いてくるような感じのする作品です。終わった後に配島君と会ったんだけど、その時の感想が「凄かった、面白かった」とか、感想を教えてとボイスレコーダーに吹き込んだ話もラストシーン関連の話しかしてなかったというそれだけインパクトは強かった。

 今作が3で見る前の段階で色んな人に3から見ても大丈夫なのか?みたいな事を聞いて回ってて、3から見ても楽しめる作品だったという意見があって、それは確かなんでしょうけれども、1→2でみたら涙の質が違うので時間に余裕のある方は1と2をご覧頂いた方が良いと思います。積み重なって来たものが違うので壮大な感動が味わえると思います。とりあえず、時間に余裕のある方は1と2で90分ずつなので是非お楽しみ頂ければと思います。同じ曲でも作品を重ねてアンセムになって行くと言う感動を味わえるとは思いもよらなかった。久々に知ってる奴が急に顔を出した様な郷愁感込みで楽しめますので。
そんな1,2を順番で見た人の感想です。最後の方泣きました、それはようやく立てたっていう感動と、かつての相方を見つけた感動とかね、そういうものが諸々積み重なった涙は違う。シリーズ恒例の長回しがフェスシーンではシーンごとに繰り広げられてるんですけど、もう1回確認したい事が多い。で、序盤に言ってたボリュームコントロールをしているのがこのフェスシーンでそういう描写も含めて感動した。正直な話、そのフェスシーンで終わらせるっていう方が個人的には好き。そういう何の解決もしてないような終わり方が好きだったりもするんだけど、そこがラストシーンではない。

 その後に逮捕されて主人公と留置所で再会するシーンがある。見始めた時は、正直思ってたのはさっきので終わらせればよかったのにとか思ってたんだけれども、いざ見るとあるからこそ重要なメッセージを含むシーンだった。泣いたのは1つ前だったけど、普通の言葉で相手を罵るマイティーに対して、ラップで返せと煽るSHO-GUNGの二人、それの応酬。これだって、ヒップホップのフリースタイルに準じているんだよなって思うと新しさを感じた。でも、どっちも普通にリズムに乗らずにお互いをディスり合っていたら、そりゃあチンピラの立ち話になっちゃうけれども、片方がラップでもフリースタイルに見えてくる。勝手に思ったんだけれども、漫才って音楽に乗ってないだけで言ったらフリースタイルのラップバトルみたいなもんなんだなって思って来た。漫才が無かったらヒップホップがもっと上がって行ったのか?とかそんな仮説を立てたくなった。でも、「ラッパーと口げんか」って言う設定は新しさを感じられた。
触発されたマイティーは最後の方にはラップで返して行くんだけど、「俺は何度でも立ち上がってやる」って言うラップが響いた。シチュエーション違うけど立ち上がろうとしている自分としては倒れても立ち上がればいいんだと変に震い上がってきた。

 総合的に見終わってみて「ココ、埼玉・フクヤから世界に」って何度となく出ているフレーズを思い出した。いわゆるインディー映画って括られるこの作品だけど、その規模を越えるようにデカイ広場でフェスのシーンを撮影したり、関東で唯一の世界遺産になる東照宮の参道で拝んでからフェスに行ったりとか、フェスで逃げる主人公がジャッキー・チェンの様に野菜に飛び込んだりとか、そう言うシーンを見て行くうちに東京ではない日本の代表として世界に見せたい映画だなって言うのを感じ始めるようになった。
埼玉から世界に誇れるものなんて、想像もした事があまりないわけだけれども、フットボールで2007年に世界3位になった我らが浦和レッズに続いて、もう一つこのサイタマノラッパーもそれに値するんじゃないか、そんな思いを抱いている。

 最後になるが渋谷シネクイントは良く来るんだけど、そのたびに印象的なものを残してくれる。ある年の正月に見た「ジョゼと虎と魚」、「ソラニン」どちらも細かくは言えないけど印象に強く残っている映画、そしてどちらも音楽が強く印象に残っている。そのラインナップにこのSR3が加わったのだった。
上映後、渋谷での公開は最終日という事でキャストとスタッフの挨拶があった。それもあってか、映画の終わりに拍手が巻き起こった。

 こう言うのは初めてだった。そして、最後に高校の同級生で配島君と15年ぶりの再会。

サウナビイチ presents 永久クリスマス

 と言っても、当時は話した事が無くて、最近のFacebookでの交流を始めたっていう。でも、それがあったからこそこの作品と見たわけでもあるのです。いやはやFacebook素晴らしいだなんて、今日はその宣伝よりもSR3が凄いっていうお話しをしたかったのです。

投稿者: shakson5

しまだくらぶです。生まれも育ちも住いも埼玉県の昭和54年早生まれの40代です。婚活の歴史とか趣味のDJとか色々お話して、皆さんの暇潰し等のお役に立ちたくてブログを書いております。

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